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地域の自立的再生現状と問題現状の評価再生に向けた対策

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神奈川県都市情報システム、昭文社 山と高原地図、神奈川県観光協会HP、神奈川の森林・林業、地域再生調査チーム報告書より作成

丹沢レポートONLINEについて

丹沢大山地域における現状と問題

地域の要因連関図

丹沢山地の里地・里山域では、山岳ツーリズムの起点や都市住民の憩いの場として賑わいを見せるところもありますが、都市的な暮らし・便利さを求め、山ろくの周囲の自然環境を十分に活かした暮らしが希薄となってきています。戦後の社会経済構造の変化の中で、森林および山際の経済・社会的利用価値、存在価値の低下が起きました。森林荒廃、鳥獣被害問題も複雑化し、暮らしのベースとなる「なりわい」としての林業も衰退し、「地域環境を活かした豊かな暮らし」の視点からは「貧しい」ものになりつつあります。山ろくでは少子高齢化が顕著にあらわれ、集落の社会機能の低下、公共交通機関の撤退、コミュニティ・コモンズ意識の低下を招き、森林や農業への関わりの希薄化が進み、山や農地の荒廃が進んでいます。さらに、山ろくでの鳥獣被害の増大が進み、また農林業の意欲減退という悪循環に見舞われてきています。



鳥獣被害

山ろくでシカ、サルなどの野生動物被害が問題になり始めたのはここ20年ほどで、特に深刻化したのは比較的近年です。さらに、ヤマビル、アライグマなどの新たな被害問題が浮上し、鳥獣被害問題は複雑化しています。シカ、サルは保護管理計画の下で管理され、獣害防止柵や個体数管理などが進められていますが、被害は深刻で、今回実施した調査では被害農家は88%で、内71%がひどい被害と回答しています。今後とも地域住民、行政、専門家との一体的で総合的な解決が求められています。




少子高齢化と山離れ

1965年から2000年のデータの推移を見ると、丹沢山地を含む8市町村では人口増加は都市部を中心としてあるものの、全市町村で少子高齢化の傾向にあります。年少人口は地域全体で26.5%が14.4%に減少し、老年人口比率は7.1%から14.5%で増加し、特に山北町で21.4%、松田町で18.1%と高くなっています。また、鉄道からのアクセスが悪い地域で高齢者の割合の高い場所が多く、地域再生の担い手不足が進んでいます。





農林業の不活性化

農家数は半減し、耕作面積は63%減少しています。また、耕作放棄地も1975年の239haから2000年には424haと1.7倍も増しています。総林家数(農家林家)もまた、2000年が1,420 戸(759戸)で、1980年から20%減少(41%減)する反面、非農家林家は33%増加し、山林土地所有者の分散化が進んでいます。このような専業農林業の減少、非農家林家の増加、農林業の経営環境の変化などさまざまな要因が複合的に作用して、耕作放棄地や手入れ不足の森林が増加し、山際の土地利用の低下が進んでいます。