神奈川県の西北部に位置する丹沢山地は、多くの県民にとっての大切な自然であり、また重要な水源地域になっています。この丹沢山地では、これまで3回の調査が行われてきました。1回目は1962~63年の「丹沢大山学術調査」、2回目は1993~96年の「丹沢大山自然環境総合調査」、そして3回目の調査が2004年度から始まった「丹沢大山総合調査」です。2回目までの調査では、丹沢山地はどのようなところか、どのような生きものが生息・生育しているのか、そしてどのような問題が起こっているのかということが明らかになり、「丹沢大山保全計画」が策定されるなどの対策もはじまりました。しかし、問題が複雑で多岐にわたるため、現在でも生態系の劣化をくい止めるにはいたっていません。次の段階として、これらの問題をどのような仕組みと方法で解決すればよいのかを模索する必要があります。そこで、今回の調査は、「課題解決型調査」をコンセプトに、さまざまな分野の調査を重ねながら、調査結果を今後の政策にどう反映させるかを念頭に置いてすすめています。

調査結果を具体的な政策に反映させるためには、さまざまな立場の多くの方々と議論をし、共にパートナーシップを組むことが欠かせません。丹沢山地や神奈川県の将来について多くの方々と一緒に考えていく際の材料として使っていただきたいと思い、このアトラス丹沢を作成しました。

第一集は、前回の調査結果をふまえて丹沢山地の概要と現状、問題を示しています。2005年度発行予定の第二集では、今回の調査結果から見えてきたこと、丹沢大山の保全再生に向けた具体的内容を、わかりやすく示す予定です。今後、あわせてご活用いただければ幸いです。