丹沢大山地域における現状と問題
評価手法
国産の木材価格は低迷していますが、この地域から搬出できる材を県産材として利用する取り組みが進められています。このような取り組みを、より効果的に進めるためには、これまでに整えられた社会基盤を積極的に利活用していく必要があります。ここでは、すでに整備された林道から近く(250m以内)、搬出コストが低い人工林(傾斜角が40度以下)を集中林業地区として、今後も積極的な林業経営を試みるべき地域に選ばれました。これらの生産効率の良い人工林では、現在荒廃している地域を中心に重点的な森林施業(間伐、枝打ちなど)を実施して、長期にわたって循環的に資源活用を維持できる環境を整えていくべきでしょう。
一方で、集中林業地区以外では、人工林の経営は難しい環境にあります。しかし、これらの地域もシカをはじめとした生きものの生息地として、また土壌流出を防ぐ水源かん養林として、非常に重要な場所であり、環境保全型の管理が求められています。
そのため、現在の荒廃状況や森林所有者の意向などを尊重しながら、人工林の広葉樹林化なども含めて、能動的に環境保全型の再生を行っていく必要があります。