ブナ・モミ等の立枯れ
立枯れたブナ
丹沢山地では、1970年代に大山のモミの立枯れが目立ち、1980年代にはブナやウラジロモミなどにも目立つようになりました。ブナなどの立枯れは丹沢山から檜洞丸にかけての主稜線沿いから南向き斜面に多くみられます。このような場所では次代を担う後継樹が育っていないため、森林の衰退が進むのではないかと懸念されています。衰退要因としては、大気汚染の影響、ブナハバチなどの病害虫や土壌の乾燥化など複合的に関係していると考えられており、原因解明が進められています。
大気汚染とブナ
これまでに、首都圏で排出された大気汚染物質は、相模湾に移送された後、丹沢山地に運ばれることがわかっています。また近年、丹沢山地の二酸化硫黄や窒素酸化物濃度は低いものの、光化学オキシダントの主成分であるオゾン濃度が高く、このような状況下ではブナの落葉が早くなり、成長に対する影響も懸念されることが明らかになってきました。オゾンは都市域で発生する窒素酸化物や炭化水素が原因で二次的に生成されるため、ブナの衰退は、私たちの生活とも密接に関係しているといえます。