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丹沢山地は、最高峰の蛭ヶ岳(1,672m)をはじめ、標高1,000mを超える山々が連なり、「神奈川の屋根」とも呼ばれています。首都圏に近いながらも、急峻な山岳と深い幽谷を持っています。また、急峻な山腹斜面とは対照的に、尾根や山頂部には、火山灰や火砕流の堆積による緩斜面が発達していることも大きな特徴です。
神奈川県の気候は、東と南が海に面し太平洋の黒潮の影響を受けているため、温暖で雨量の多い太平洋側気候です。年平均気温は、横浜は15.5℃ですが丹沢山山頂付近の標高1,450m地点では6.4℃(1993~1996年)です。降水量は、平野部に比べて丹沢や箱根の山地で多く、年降水量が横浜で1,623mm(1971~2000年)であるのに対し、丹沢湖では2,167mm(1979~2000年)になっています。積雪は、丹沢山地の稜線部では局所的に2~3mになる年もありますが、平年は稜線部でも1m以下です。
丹沢山地の植生は、低標高から高標高に向かうにつれて、シイ・カシなどの暖温帯自然林からブナなどの冷温帯自然林に変化します。丹沢山地ではその境界は標高800m前後です。高標高域のブナ林は多く残されていますが、低標高域ではスギやヒノキなどの植林の割合が高く、それ以外の場所も薪炭林として利用された二次林が多くあります。また、大山や札掛など山腹の急斜面や尾根筋には、モミ・ツガ林が発達している場所もあります。